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第十九回「女性の病気・乳がんの正しい知識を得て早期ケアを!<実践編>

第十九回「女性の病気・乳がんの正しい知識を得て早期ケアを!<実践編>」


 前回は<基礎編>として、乳がんという病気について、またそのリスク要因などについてお話しました。日本女性の乳がんでの死亡率が高いのは、乳がん検診の受診率が先進国の中で極めて低いことが挙げられます。
 乳がんは早期発見で9割以上が完治する病気なので、特に発症率が高いとされる「30歳以上の未婚女性」「初産経験が30歳以上の女性」「肥満傾向の女性(特に閉経後は高リスク)」「閉経年齢が55歳以降」「家族に乳がん発症あり」の方には定期的な受診をおすすめします。またすべての女性にかかる可能性のある病気でもあるので、年齢や要因にかかわらず、意識すべきことでもあります。
 乳がんの要因のひとつとして「肥満」が挙げられます。特に閉経後は女性ホルモンの分泌が減り、基礎代謝も減って脂肪がつきやすくなっています。年齢を重ねたからこそ、適度な運動が大切。肥満予防はメタボリックシンドローム、糖尿病などの生活習慣病だけでなく、乳がんの予防にもつながります。
 おすすめしたいのは、効率よく脂肪を燃焼する有酸素運動。「私は年だから運動なんて」「スポーツは苦手で」という方も、散歩感覚のウォーキングやプールでの水中ウォーキングなど、気軽に身体を動かすだけでも違います。
 ある程度、体力がついたら、基礎代謝を上げるための筋力トレーニングがおすすめ。筋肉がついていないと、どんなに運動しても脂肪はなかなか燃えません。家事の合間にできるスクワット、テレビを見ながらの腹筋など、気軽にできるトレーニングやお風呂上がりのストレッチから始めましょう。
 欧米では運動不足の人よりも、定期的に何らかのスポーツをしている女性の方が乳がんにかかりにくいというデータも出ています。少しでも運動の習慣をつけることが、乳がんのリスクを減らすことにつながるようです。
 乳がんはセルフチェックが可能ながん。朝のメイク時やお風呂上がりに顔やボディラインを鏡でチェックするように、バストもチェックする習慣をつけることで、早期発見につながります。
 鏡の前で両腕を高く上げて、乳房や乳輪の形に変化がないか?ひきつっていないか?くぼみはないか?などをチェック。さらに腕を腰にまわして、同じポイントを見ます。乳房や乳首をしぼるようにして、分泌物が出ないかを確認することも大切。お風呂で洗いながら、バストの表面を「の」の字を描くようにくるくる触れて、しこりがないかをチェックします。このセルフチェックを月1~2回は続けたいもの。習慣で行うようにして、いつもと凹凸が違うなど、気になることがあれば、すぐにクリニックへ行きましょう。
 そして一番大切なのは定期検診。乳がんの検診はどんなプロセスで、どんな内容を行うのでしょうか。
 乳がん検診で行われる主な検査は、レントゲンを使う「マンモグラフィ」と「超音波検査」です。マンモグラフィとは、乳房を圧迫板ではさみレントゲン撮影する検査法。主に早期のがんを発見しやすいと言われています。超音波検査は、機械を乳房に当てて超音波を送り、反射画像で乳房内部の様子を調べます。
 40代くらいまでの若い年代では乳腺が発達しているため、マンモグラフィだけではがん細胞が発見しにくく超音波検査が欠かせません。一方、50代以降だとマンモグラフィの方が発見しやすい傾向にあります。個人差があるため年齢で一概には言えませんし、また症状や進行度によっても異なるので、組合せ受診がベストです。
 30代までにはマンモグラフィを一度は受けておき、40~50代では1~2年に一回はマンモグラフィと超音波検査を組み合わせて受診。60歳になってもマンモグラフィのみは同じ頻度で受診するのがおすすめです。
 女性なら誰でもかかり得る、早期発見で完治できる可能性が高い病気…ということを意識して、常にセルフチェックや検診などを実践しましょう。

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