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第十八回「女性の病気・乳がんの正しい知識を得て早期ケアを!<基礎編>」

第十八回「女性の病気・乳がんの正しい知識を得て早期ケアを!<基礎編>」


 「ピンクリボン運動」などでも昨今、早期発見・検診・治療がすすめられている女性特有の病気「乳がん」ですが、そもそも乳がんとは一体どんな病気なのでしょうか?
 乳房には脂肪組織の他に母乳をつくる「乳腺」があります。この乳腺にできる悪性腫瘍が乳がん。女性ホルモンの分泌が乳腺を過剰に刺激することで起こりやすいがんと言われています。
 結婚、出産経験と乳がんとの関連性が少なくないのは、母乳に関係している組織の病気だからです。また女性ホルモンのコンディションも影響することから、年齢や生活習慣も関係すると言われています。
 他のがんと比較すると体重が減るなどの初期の自覚症状が現れにくいのも乳がんの特徴。しこりがわかるほど大きくなった時には乳腺以外の臓器にもがんが転移してしまっていることも少なくありません。乳がんはがんの中でも特に定期的な検診を重視しなければならない病気と言えます。
 ここ数年、世界中で患者が急増している乳がん。日本女性では約20人に1人がかかると言われ、年間の死亡者数は1万人以上にのぼります。日本は先進国の中では乳がんで亡くなる人が特に多く、30~40代女性のがん死の上位に挙げられています。その原因は日本の乳がん検診の受診率が、先進国の中では極めて低いこと。欧米では乳がんの検診率は80%を超えているのに対し、日本ではわずか10%前後と言われています。乳がんは早期発見さえすれば、完治の可能性が約90%もある病気。ところが検診の習慣がないために、発見された時はがんが進行している例が多く見られます。ぜひ定期的な乳がん検診を受診しましょう。
 近年、日本女性に乳がんが急増している原因には、ライフスタイルの変化も挙げられています。晩婚化や少子化によって、高年齢でも結婚・出産を経験しない女性が増えたことも要因のひとつ。女性の身体は妊娠・出産・授乳の時には、女性ホルモンの分泌が一旦休息を取るメカニズムになっています。ところが昨今は初潮年齢も早く、妊娠・出産・授乳を経験しない女性が増え、長年休むことなく女性ホルモンが分泌され続ける女性が多いのです。それが乳がんへの影響をおよぼすのではないかと言われています。
 出産経験の有無は乳がんのリスク要因のひとつではありますが、出産を経験した女性の発症率が低いわけではありません。出産経験以上に大きい原因とされているのが食生活の欧米化だからです。
 肥満と乳がんも密接に関係しているのは、皮下脂肪が多いと女性ホルモンの過剰分泌を招きやすく乳腺を刺激してしまうからです。食生活の欧米化で日本女性の動物性脂肪摂取量は、乳がん率の低かった30年前と比べると急増。このため肥満になりやすく、乳がんの発症率も上がったとされています。特に閉経後で肥満傾向の女性は、女性ホルモンの分泌が減っているにもかかわらず乳腺を過剰に刺激してしまうため、リスクが高いと言われています。
 これらのことから、乳がんの発症率が高いとされる女性は「30歳以上の未婚女性」「初産経験が30歳以上の女性」「肥満傾向の女性(特に閉経後は高リスク)」「閉経年齢が55歳以降」、それから遺伝的要因から「家族に乳がん発症あり」、また要因に関わらず「40歳以上のすべての女性」にはリスクがある病気でもあります。さらに発症率は少ないとはいえ年齢が若くてもかかるので、すべての女性が意識しなければならない病気と言えるでしょう。
 次回は乳がんのセルフチェックや定期検診、乳がん予防にもつながる肥満を避けるエクササイズなどを紹介する<実践編>をお届けします。

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